贈る言葉

経営学部長 佐藤 勝尚

 本日、豊橋創造大学経営学部経営学科を卒業される皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、ご家族並びにご関係の皆様にも心よりお祝い申し上げます。

 まず最初に、昨年から続くコロナウイルス感染症の拡大においてコロナ禍において亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、今なおこの感染症と闘っておられる方々にお見舞いを申し上げます。さらに、コロナ禍の中にあっても、医療関係者の方々をはじめとする、日々われわれの社会生活の基盤を支えてくださっている方々に深く感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。

 さて、本日、巣立つ日を迎えられ,社会で活躍されることを期待される皆さん方に、コミュニケーションについて、お話したいと思います。経営行動の主体である企業の本質は、コミュニケーションであることを、再認識することが重要です。我々は、習性として、聞きたいものを聞き、見ようとしているものだけを見るという傾向があります。したがって、円滑なコミュニケ-ションを行うには、受け手が何に関心を持っているかを考えなければ、なりません。言い換えれば、コミュニケーションは、受け手が主役であり中心にあることを理解しなければなりません。コミュニケーションの主役は、発信者であるという誤った考え方を持つべきでなく、受け手がどのように、とらえるかに思いを馳せなければなりません。

 優れたコミュニケーションには、情報の伝達だけではなく、感情・知覚の共有が不可欠です。情報の伝達の、伝達とは、字のごとく、伝えて、相手に達せなければなりません。相手に達することに注意を払うこと、関心を払うことが感情・知覚の共有につながります。皆さん方が就職される組織は、コミュニケーションで成り立っているといえると言えます。ここでは情報の伝達を基礎において情報を介した、「感情・知覚の共有の有機的な関係」と「双方向な人間のつながり」の集合体が、付加価値を産む企業活動そのものとなるわけです。P.Fドラッカーが指摘したように、あらゆる企業が新たな付加価値を生み出す組織活動を単なる情報のデジタル化だけではなしえない、コミュニケーション能力が強く求められる時代になっているということです。

 このような時代に活躍されることを期待いたしまして、卒業にあたっての贈る言葉といたします。

2021年3月18日

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