経営学科2年生・基礎ゼミナール2 前半実施報告

基礎ゼミナール2(前半)(若原ゼミナール)の様子
 2年次秋学期の科目『基礎ゼミナール2』は、3・4年次の専門ゼミナールの準備として、経営学科の3領域(経営・会計・ICT)の専門分野に触れる機会を得るために全16週を前後半(8回)に分け、各自興味のあるゼミを1つずつ選択できるようにしています。

 2025(令和7)年度秋学期の前半は4人の教員によるゼミナールを開講し、各教員から与えられたテーマに取り組みました。


今井ゼミナール

 今井ゼミナールでは、センシングとコントロールを題材にプログラミングの基礎的な実習を行いました。学生プロジェクトで利用している初心者向けのビジュアルプログラミング環境BlocklyduinoとArduinoによるマイコン実習、MakecodeとMicro:bitを用いたセンサーカーから始めて、卒論等にもつながるWi-Fiマイコン(ESP-8266やESP32)とIoTクラウドサービス(AmbientやIFTTT)等の実習です。

 具体的には、基礎編として、①チュートリアル、②入出力の基礎としてのRGB LEDによる色コントロールや繰り返し処理、③明るさセンサ+シリアルモニタ他、④超音波センサとモータを用いたMicro:bitカーによる障害物回避、⑤赤外線センサを使ったライントレーサの実習をして貰いました。

 応用編として、テキストベースのプログラミングも実習しました。⑥IoTの例題の温湿度センサーであるWi-Fiマイコンモジュール(ESP-8266やESP32)を用いたデータ送信テストとIoTとクラウドサービスによるサイト側受信(グラフ化)等を体験して貰いました。

 短期間のゼミでしたので、基礎編、応用編ともに実機を用いた概略理解と体験を主なテーマとしました。今回の実物システムを動かしながら体験する基礎ゼミの実習を通して、「不足している知識は何か」あるいは「さらに必要な知識は何か」などを感じて、今後の自主的な学修の方向性を決定することの助けになればと考えています。


三輪ゼミナール

 ビジュアルデザインをテーマとした三輪ゼミでは、『色の心理的効果と視認性』について理解を深める目的で“架空の病院”の看板をデザインしました。

 まず、ゼミ生全員で手分けして街にある病院看板の写真を撮影・収集し、グラフィックソフトウェア(Adobe Photoshop)を使用して写真の明るさや歪みを補正しました。その後、3チームに分かれてグループワークを行い、

  • 色,配色
  • 書体
  • デザイン上の特徴

等を整理し、“病院らしさ”と“看板特有のデザイン”について分析を行いました。

 
 さらに、色彩心理について調査することで、病院看板に使われやすい色について理解を深めました。また、看板の重要な要件のひとつである“視認性(パッと見たときの認識のしやすさ)”について調査し、その結果を実証するために“病院看板のデザイン”を行いました。

作成した看板一覧

 その後、自分が作成した看板のデザインについて、PowerPointを用いて

  • 作品のコンセプト
  • 視認性を高めるための工夫

等を中心にプレゼンテーションを行い、作品や発表の様子について評価シートに記入することで相互評価を行いました。また、作成した看板についてWordで報告書(レポート)を作成しました。

 
 短い期間でしたが、①情報の収集・整理・分析、②議論・考察、③調査に基づいた制作、④プレゼンテーション、等のゼミならではの学修を行うことができました。また、ビジュアルデザインに関する基礎的な知識の理解が深まったと考えています。


山田ゼミナール

 基礎ゼミナール2では、来年度の専門ゼミナールを選ぶ際の参考になるように、「選好」に着目して実施しました。
具体的には、次のように実施しました。

  1. 性別(男・女)による好みの違いがあるかどうか、知りたい項目を考えて、アンケートデータ(N=30以上)を取得する準備を指示
  2. 統計分析に必要な基本統計量(平均、分散、標準偏差など)について講義とExcelでの解法
  3. 検定の考え方(帰無仮説と対立仮設、2種類の誤り、検定統計量と棄却域、t検定、F検定、χ2検定についての講義とExcelでの解法
  4. 練習用のデータを使って、Excelによるχ2検定の実施
  5. 自分の知りたい項目について、性別(男・女)により好みの違いがあるかどうか、χ2検定を実施し、発表用パワーポイントファイルと報告用Wordファイルの作成を指示
  6. 発表の実施

 学生たちが挙げた項目について、一人を除いて「性別(男・女)による好みの違いがない」という結果(表1)になりましたが、検定結果だけでなく、検定実施までのプロセスを学び、また、性別(男・女)による好みの違いだけでなく、その理由から考察をしてもらいましたので、来年度以降、どの専門ゼミナール配属されても役にたつ学びになったと考えています。

表1 性別(男・女)による好みの違いがあるかについてのχ2検定による検定結果


若原ゼミナール

 基礎ゼミナール2(会計)では、『実社会において会計情報が果たしている役割を理解する。』をテーマに、必修科目として学習してきた「簿記入門1・2」及び「会計学入門」等の内容(企業の財政状態や経営成績を明らかにする財務諸表に関する学習)が、実社会でも広く活用されていることを履修者の皆さんに認識していただきました。

 具体的には、上述の必修科目の知識をふまえて、日本の制度会計や企業内容等開示制度の基礎知識を学びました。そして、私たちの生活に身近な存在となっている業界(主に製菓業界)に着目し、業界内のトップ企業等の有価証券報告書から読み取ることができる財務状況や経営戦略等に関する議論・発表を通じて、実社会における開示情報の有用性について理解を深めました。

 まず、製菓業界を取り巻く環境を整理し、業界最大手企業の強み・弱みをSWOT分析で検討しました。そして、コロナ禍の影響を含めた財務状況や経営戦略について、グループディスカッションを重ねました。終盤には、各自で収益性・安全性・成長性などの財務諸表分析を実施し、発表用資料を作成しました。最終回の発表会では、聴き手に伝わる資料・発表の難しさを体験し、改善点を振り返りました。

 このように、基礎ゼミナール2(会計)では、仲間とのディスカッション・発表を通じて、視野を広く思考を深くする大切さを学びながら、「実社会において会計情報が果たしている役割」について深く考えるとともに、実社会で求められる論理的思考力の重要性やプレゼンテーション技法についても学びました。

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