経営学科2年生・基礎ゼミナール2 後半実施報告

 2年次秋学期の科目『基礎ゼミナール2』は、経営学科の3領域(経営・会計・ICT)への理解を深め、より多くの専門分野に触れる機会とするため、試験期間を含む16週を前後半(8回)に分けて各自興味のあるゼミを選択できるようにしています。

 2022(令和4)年度秋学期の後半は4人の教員によるゼミナールが開講され、各教員から与えられたテーマに取り組みました。

 本科目で各専門分野の概要に触れた経営学科2年生たちは、3月には専門ゼミナールを選択し、4月からはそれぞれの分野について専門性の高い内容を学修していきます。


岩本ゼミナール

 岩本ゼミナールは、マーケティング論、流通論、地域産業論の専門ゼミナーです。本年度は「エシカル」を統一テーマとして、学生たちは自由研究に取り組みました。

 前半は、研究テーマ、リサーチクエッション、アウトラインといった、研究の全体構造を設計し中間プレゼンテーションを実施。後半は、それぞれ論文執筆に取り組み、最終プレゼンテーション及び論文提出で終了しました。学生ごとの個別指導はもとより、学生間のコミュニケーションやプレゼンテーションを通じて、学生間の相乗効果による議論の昇華を確認することが出来ました。

 参加学生の研究テーマは、「エシカル消費への取り組みとその考察」、「株式会社良品計画と資生堂の比較」、「ミズノとアシックスの比較」、「デジタル時代における書道に関する研究」「自動車産業のCSR活動~トヨタの事例を中心に~」「ペット飼育における社会責任-犬や猫のマイクロチップを事例として-」、「株式会社とんかつの武蔵グループ 成長戦略」、「スターバックスコーヒーと競合他社との戦略」、「USJのマーケティング戦略 ~USJ流「消費者視点」マーケティング~」、「地域社会における神社の責任」、「ESG経営と環境問題」、「サーラコーポレーションのサステナビリティ ~サーラコーポレーションの取り組み~」、「デジタルマーケティング戦略―日本コカ・コーラのデジタルマーケティング―」等、多岐にわたっている。

 この演習活動によって、「学術研究とは何か」という問いの答えを掴んでもらえれば幸いです。


見目ゼミナール

 見目ゼミナールでは、「持続可能な社会の構築」をテーマに、身近なエネルギー・環境問題を題材にしたグループ・ディスカッションを中心に「自分たちに何ができるのか、何をすべきか」を考えました。

 ゼミナールの前半では、まずCOP27に関する新聞記事を題材に、次に家庭における省エネルギー策やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を題材にそれぞれの内容の理解を深めながら、自分たちの意見をまとめていきました。その際、マインドマップを活用し、「書き出したものの先に何があるのか」を考えながら、発想を広げるよう取り組みました。

 後半は、各自が最も興味を持った最近のトピックスについてまとめ、最終日に発表しました。発表では、エネルギー問題について、太陽光パネル設置義務化やアンモニアの利用、放射性物質による汚染水の海洋放出問題をテーマにしたものが見られました。また、プラスチック問題について、代替品の利用など改善に向けた発表もありました。この他、日本の森林管理の不十分さの問題や人口爆発問題、雨水の水資源利用、エコカーの普及策に関する提案など、幅広い分野での発表が見られました。

 今回のゼミナールでの学びをきっかけに、今後も持続可能な社会への興味を持ち続けてもらえればと思います。


中野ゼミナール

 この授業は「地域と日本、世界の課題」を共通テーマに、参加者各自がテーマを選択して小論文を作成、自己研鑽の結果を発表し、議論する形で進めています。並行して、一般的な論文の書き方や構成を学びました。本学部では、この作業が1年次から反復されるため、学生が各自の関心を反映した、一定水準のレポート・小論文を書けるようになります。

 選択されたテーマが多様なのは、とても望ましいことです。今年は、経済系のテーマを選択した学生が少なかった反面、「EU構造基金」や「ウクライナ紛争」、「中国の共同富裕社会」のような国際系テーマがみられました。幾つかは、もう少し学習すれば立派な論文になるものです。「シングルペアレントの貧困」や「少子化と社会保障」、「男女の政治・経済格差」「水質汚染」など喫緊の社会的、環境的課題を取り上げたものは常時多いのですが、哲学的テーマを取り上げた学生も2名いました。

 今年の履修者17名全員が課題をこなし、一部の方はとても良く学ばれたと思います。先行研究の上に自らの論理を構築することが次年度以降の課題ですが、論旨が明確で良い資料が効果的に使われており、われわれと変わらない洞察を伴うものもあります。こうした学修をじっくり味わえる楽しみとして継続できれば、それが一人一人の知的なアイデンティティーを形づくるようになるのだと思います。


中澤ゼミナール

 中澤ゼミでは「地理空間情報サービス」をテーマに、実験を通じた「位置情報の収集・分析」を体験しました。携帯端末やタブレット端末にインストールした位置計測アプリをGPSロガーとして利用した計測実験を実施しました。具体的には、2~3名のグループ毎にあらかじめ歩行ルートを設定し、そのルートに沿って位置情報を収集しながら大学構内を1周する実験を行いました。

図1 測位実験の様子

 
 その後収集した位置情報についてGoogle Earthを利用した経路の表示と分析を行いました。そして、分析した結果から携帯端末による位置計測の重要性とその限界についての考察を行いました。

図2 実験結果

 
 授業の最終回では、実験結果への考察について各自5分程度でプレゼンテーションを行いました。このプレゼンテーションを通じて、どのような発表資料を作成しどのように喋ると聴衆に伝わりやすいのか、といった点について考えるきっかけになったと思います。また、実験により各自が得た知見を全体で共有し、他の学生とディスカッションすることで地理空間情報に関する基礎知識への理解を深めました。

図3 授業風景

 
 このように中澤ゼミでは、実験による仮説・検証のサイクルに基づいた科学的な研究手法の一部を体験するとともに、発表とディスカッションによる意見の共有方法について学びました。


 基礎ゼミナール2・前半の8回については、次のページに概要を紹介しています。

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