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講師
山口由香さん
Profile:名古屋市出身。南山大学経営学部卒業。1992年に富士通株式会社に入社、システムエンジニアとして活躍。入社3年目でグループリーダーに抜擢される。その後結婚し2000年に出産。2005年には総勢100人を超えるプロジェクトの責任者に。2007年から富山富士通に出向。12名の部下を率いる課長職にある。
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入社3年目で
グループリーダーに!
今回は、第一線で活躍するシステムエンジニア(SE)であり、プロジェクト課長の重責を担う立場であり、小学校に通う女の子の母親でもある山口さんに、出産・子育てを含む総合的なキャリアについてお話しいただきました。 富士通に入社してわずか3年目、突然グループリーダーに抜擢されます。メンバーは自分よりも年上の社員ばかり。リーダーって何をすればいいの? ――悩んだ結果、山口さんは、人を頼ることにしました。わからないことを自分で抱え込まず、わかる人に相談する。そして、「できない」と言う前に、自分にできることは何かを考える。このようにして第一の転機を乗り越えました。
女性らしく、
私らしく働こう。
第二の転機は“出産”でした。以前は月間100時間を超える残業をこなしたこともありましたが、子育てをしながらそんな働き方を続けることはとても無理。「子どもには自分しかいないが、仕事なら他のスタッフがいる」と考えて、できる人に任せる方針に切り換えることにしました。“子育てをとるか仕事をとるか”ではなく、しなやかに両立する方法を創造したのです(他の社員よりも早く帰る分、自分に厳しく仕事に臨んだことは言うまでもありません)。「“男性と対等に”と肩肘を張るのではなく、女性らしく自分らしく働く、それも生き方だと思います」と山口さん。
人を動かすのは、
言葉から伝わる熱意。
2007年、大規模プロジェクトのリーダーを務めることに。これが第3の転機です。総勢100人を超えるメンバーを率いてプロジェクトを完遂するために山口さんが重視したのは、密接なコミュニケーションでした。電子メールよりも一人ひとりと会話する努力を重ね、メンバーの個性を知り適材適所を考えました。山口さんは「人を動かすのは、技術ではなく熱意」と語ります。その熱意は、直接話すことで最もよく伝わるのです。
できないことへの
挑戦が人を育てる。
今までの経験を振り返って山口さんは、人がキャリアアップするのは「自分の能力以上の責務を負ったとき」「自分を取り巻く環境が変わったとき」だと言います。今までと同じことを続けていても成長はない、“できないこと”への挑戦が人を育てるのです。 「仕事は、活き活きとした自分であるための栄養素のひとつ。皆さんも自分を魅力的にしてくれる仕事を選んでください」と、まとめの言葉をいただきました。
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システムエンジニア(SE)は、実は人と話すことが多い。クライアントがどういったシステムを必要としているのか的確に聞き出し、実現しなければならないからだ。私は人と話すことが好きなので、今回の講義でますますSEの仕事に興味を抱きました。(長谷川 真也)
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女性の意見が聞けて参考になった。女性は男性よりも不利な面が多く、特にSEは男性の方が多そうだし、大変だと思っていたが、逆に女性ならではの目線や有利な部分を生かせばやっていけると聞き、無理して対等になろうとしなくてもいいのだなと安心した。(山田 知加)
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現代では母親が専業主婦である家庭はむしろ少ないかもしれません。ですが山口さんは企業でプロジェクトリーダー等の重要な役職に就きバリバリに働いていらっしゃるので、すごい方だと思います。私のイメージでは、仕事ができる女性は結婚などの面で失敗しがちだと思っていました。(青木 ユカ)
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出産は、夫婦にとって女性にとって、理想とするほど華やかなものではなく、重荷になるのでは…と思っていました。しかし山口さんの「仕事をしている自分がアイデンティティであり、結婚・出産は障害ではない」という力強い言葉に感心しました。(白井 亜実)
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出産という、親としての責任が問われる転機を迎えたとき、つらいから辞めようとするのではなく、続けるために何をするかと考えるなど、家庭を第一に考えて仕事を二番目に考えるというのは、新たな考えでいいと思う。(伊藤 暢章)
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山口さんも仕事で徹夜があるなど、とても大変そうだと感じたが、逆に仕事も家庭も充実しているのか、とても輝いて見えました。やっぱり仕事ができる人はかっこいいし、自分も将来は家庭も仕事も充実している人になりたいです。(高須 健太)
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自分も、わからないことをよく抱えてしまって失敗することがあります。人に聞くのが怖くなり、言いづらいこともよくあります。しかし今回の講義で、「言わないことが失敗だ」ということがわかりました。仲間の力を借りてうまくこなすことも大切だと知りました。(中西 希一)
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多くの部下を持ったとき、1に会話、2にメール、これにより自分の意志を伝えるのが大事だということ。人を動かすのは、技術ではなくて熱意だと言う。きちんと話し合うことはどんな場でも必要だと考えるので、これにはすごく賛成です。(高柿 拓也)
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会社は、社長のもとに平社員たちがただ任されたことをやらされているように見えていたけど、実は社員の考えたプロジェクトによって会社が大儲けしたり大赤字になることもあり得るのだ。そう考えると、会社員もやりがいを持ってできる仕事なんだと思った!(富永 啓太)
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自分ができることだけをやるのではスキルアップにつながらない。苦手なものに何度も挑戦していくことで「苦手」を「得意」にすることができるのではないかと思いました。何か苦手なものにぶつかっても逃げずに挑戦していくことが大事であるということを学びました。(渡邉 萌子)
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何かをやり遂げるために壁を乗り越える体験が、社会に出て役に立つ。この言葉を聞いて、自分も何でもいいから目標となるものをさがして、一日一日を本当に貴重に生きていきたいと思いました。(井本博崇)
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