2013年度（平成25年度）卒業研究概要
若年層における献血率低下問題に関する一考察
医療において輸血は欠かすことのできない治療法であり，それを支えているのが献血です．今日の輸血・献血については，輸血を受ける人の約85%が50歳以上である一方，献血をする人の年齢層の約76%が50歳未満（そのうち約25%が16歳～29歳）となっており，健康的な若い世代の献血が高齢者医療の多くを支えているのが現状となっています．しかしながら，近年，献血者数は減少傾向にあり，特に若年層の献血者数・献血率の低下が社会問題となっています．
本研究では，日本における血液事業の歴史や背景（日本赤十字社の取り組みなど）を調査し，若年層の献血率低下問題について考察しました．厚生労働省の調査結果や学内アンケートの結果から，若者の社会貢献に対する意識は以前よりむしろ高いこと，献血機会の提供・周知が重要であることを明らかにし，具体的な改善・対策案について提案しました．
キーワード：
献血 ¦ 献血率低下 ¦ 若年層 ¦ 献血機会 ¦ 少子高齢化 ¦ 日本赤十字社 ¦ 若者の意識
企業におけるSNS戦略の調査
インターネット利用者は1990年代後半から急激に発展し，全世界の利用者数は2012年の時点で24億人（世界の人口を70億人とした場合34.3%），日本の利用者数は2012年現在で9652万人（79.5%）といわれています．ソーシャルメディアは2001年頃から普及し，友人・知人らとのコミュニケーションにおいて欠かせない存在となってきています．そのような背景の下，企業もまた経営の一環としてソーシャルメディアの活用を始めています．
本研究では，企業のソーシャルメディア活用（SNS戦略）について，代表的な企業の活用事例を調査し，それを基に企業のマーケティング手法や効果（戦略の影響力）について考察しました．また，実際にショップのWebサイトやFacebookページの作成と運営を行い，インターネットメディアを活用した広報を体験するとともに実際の運営を通して気付いた課題についてまとめました．
- SOZOショップ「笑輪」：http://showa.sozo.ac.jp/
- 笑輪Facebookページ：
https://www.facebook.com/sozoshop.showa
キーワード：
ソーシャルメディア ¦ SNS ¦ マーケティング ¦ 企業のSNS活用事例 ¦ ROI ¦ Twitter ¦ Facebook ¦ WordPress
仮想デスクトップサービスの導入に関する検討
企業や大学等の機関における仮想デスクトップサービスの導入が増えています．仮想デスクトップとは，クライアント環境をサーバ側で集中管理する技術であり，クライアント側には必要最小限の機能だけを持たせ，サーバ側でアプリケーションソフトやファイルなどの資源を管理します．このため，一般にセキュリティの向上やコストの削減を期待できます．2011年の東日本大震災を機に，事業継続対策として導入するケースも増えているといわれています．
仮想デスクトップサービスを利用する際，ユーザの利便性（操作性）に影響を与えるのが機器や伝送路で発生する遅延です．本研究では，本学のクライアントPC環境（PC教室等）を仮想デスクトップサービス（クラウド利用）に置き換えることを想定し，仮想的に遅延を生じる実験環境を構築して，仮想デスクトップ利用時に遅延がユーザに与える影響について評価しました．また，コストの観点からも考察を行いました．
キーワード：
仮想化 ¦ クラウド ¦ 仮想デスクトップサービス ¦ DaaS ¦ 遅延 ¦ 利便性 ¦ TCO
オープンソースCMSを用いた学修ポートフォリオシステムの構築
大学教育において『学修ポートフォリオシステム』が注目を集めており，さまざまな機関において独自の取り組みが行われています．ポートフォリオシステムを有効に活用するためには，学生に対する動機づけが大切です．そして，身近なツールとしての認識を浸透させるためには，日常的に利用しやすい環境（利便性の高いインターフェース）を実現することが重要です．また，ポートフォリオシステムは実際の教育内容や活動と密接に関係するため，利用者の評価やニーズによってシステム導入後も機能の追加や変更（カスタマイズ）に柔軟に対応できることが求められるといえます．
本研究では，現実的に有効活用できるポートフォリオシステムの構築を目的として，大学教育において必要とされるポートフォリオシステムの要件を整理し，また，学生の視点からタブレット端末・スマートフォンからも利用しやすいインターフェースの検討を行い，実際にシステムを構築しました．開発にあたっては，開発環境構築の容易さ，および，機能やデザインのカスタマイズ性から，オープンソースCMSのWordPressをポートフォリオシステムの基盤として利用し構築しました．いくつかの課題は残ったものの，今後の発展の可能性を感じさせるシステムを構築できました．
キーワード：
学修ポートフォリオ ¦ CMS ¦ WordPress ¦ テーマ・プラグイン開発 ¦ 学修履歴 ¦ 課題提出 ¦ スケジュール管理 ¦ レスポンシブデザイン ¦ フラットデザイン
