第7講 営業――信頼関係から始まる仕事 2008年11月27日
講師 株式会社 毎日広告社 祖父江 晃理さん

講師

株式会社 毎日広告社

祖父江 晃理さん


Profile:名古屋市出身。中京大学社会学部卒業。高校・大学を通じテニスに打ち込む。大学時代はテニス教室のコーチも経験し、幅広い世代の人とコミュニケートするスキルと自信を獲得。この資質を生かして卒業後は営業職一筋。数々の会社を渡り歩き、現在は毎日広告社に勤務。好きなコトバは「威風堂々」、嫌いなコトバは「君には無理」。

講義レポート

営業という仕事のイメージは?

「将来、“営業”やりたい人、手を挙げて!」祖父江さんの講義は、こんな問いかけから始まりました。実際に手を挙げた学生は、ほんの数人…。営業という仕事、あまり良いイメージを持たれていないのでしょうか。
祖父江さんの場合、約10年にわたる職歴のほとんどが営業職。最初に入った会社での仕事は、ふとんの訪問販売でした。その仕事を選んだ理由は「どうせやるなら、極端な“攻めの営業”をしたかったから」だとか。

宝探しゲーム
のような仕事。

ふとん販売では、100軒のドアチャイムを押しても、ドアを開けてくれるのはせいぜい1〜2軒。厳しい仕事のようですが、祖父江さんに言わせれば「1/100の出会いを求める、宝探しゲームのような仕事」となります。ドアを開けてもらえたら、商品を売ることよりも、信頼関係を築くことが重要。短時間で相手と仲よくなるテクニックを身につけたのでした。
ふとん会社が放映していたCMを見て、広告の世界に興味を広げた祖父江さん。出版社に転職し、レッスン情報紙に広告を掲載してくれるスクールを探してくる仕事に従事します。個人を対象としたふとん販売とは異なる、法人営業・広告営業ならではのスキルを身につけました。その後も今日まで一貫して広告業界で活躍しています。

さまざまな
営業スタイル。

祖父江さんによれば、営業とは「商品・情報・サービスなどを、利益が出るように売ってくること」。新しい顧客を開拓する “新規営業”と、既存顧客との取引を拡大する“ルート営業”の2種類に大別できます。また、営業のスタイルは、飛び込み・テレアポ(電話して訪問)・レスポンス(DMなどの返信があった先を訪問)・紹介など、実にさまざまであることがわかりました。

お互いに利益を
出すことが大切。

“WIN-WIN(お互いに利益を出す)”――祖父江さんが営業のベースにしている考え方です。「自分が100点取れれば、相手はマイナス100点でもいい(A)」というのではなく、「お互いに60点を取ろう(B)」という発想です。Aの考え方では2人の合計点は0点になってしまいますが、Bなら2人合わせて120点になるのです。WIN-WINの考え方は、“だまし、だまされる間柄”では成立しません。信頼関係が何よりも大切です。相手を信頼し、相手に信頼されるよう努めること、これこそが営業の第一歩なのです。

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受講生の声(抜粋・要約)

祖父江さんのように自分の可能性を信じて、いろんな会社で自分の力を試してみたいと思った。一つの会社で働き続けるのもいいことだけれど、自分に何ができるかを確かめるためにも、いろんなことに挑戦していきたいと思った。(岩田 翔飛郎)

社会に出ていない私が言うのも変だが、祖父江氏は転職が多すぎではないかと感じた。転職を否定するわけではないし、自分に合った仕事でなければ転職は有益なものだ。しかし6回はやり過ぎだと思う。私にも転職する機会がくるかもしれないが、できるだけ回数は増やさないようにしたい。(小沢 順平)

祖父江さんのお父さんの話ですが、40年間ひとつの仕事に尽くすことがとても重要だと話されました。ひとつのことをずっと続けられるだけでなく、その仕事を軸としてステップアップして、いろいろなことにチャレンジできる人間になりたいと思いました。(近藤 由志彦)

一口に営業と言っても様々な種類があることを知り、イメージが広がりました。庭に花が置いてある優しい人が住んでいるというように、お客さんを観察して相手を知ろうとしているという話も営業の仕事のイメージアップになりました。(鈴木 三保子)

「お客さんに対して商品の話をしてはいけない」「ひたすら短時間で人間関係構築をめざす」これらのことはすごくためになると考える。訪問販売は、初めて会う人ばかりである。商品の話よりも人間関係を築いていき、信用されてから徐々に商品の話を出していけばよい。(小林 王祟)

私の家に営業で来る人たちは、自分の利益しか考えていないように感じてしまう。祖父江さんはいい印象だったが、話を聞いても営業は好きにはなれなかった。しかし(WIN-WINを実感するために行った)赤・黒を使ったゲームはおもしろかった。営業の考え方として使っているところはいいと思えた。(武澤 光起)

最後にやったゲームでは、とても大切なことを教わりました。僕も含めてほとんどの人が、自分の点数を上げることだけを考えて“赤”に投票しました。その後、両者とも“黒”にすればどちらも点を取ることができ、その考え方が営業で必要だというお話を聞いて、とても感動し、納得しました。(寺田 直毅)

たしかに社会では、どこかを信じて協力や提携をしなければほとんど生きていけません。しかし、世の中すべてを信じるわけにもいかないという現実もあるのです。やっぱり、裏切りがあるからこそ信じる価値があり、信じるからこそ裏切りの意味があるのでしょうか。(佐野 貴祥)

企業だけに限らず、政治や経済、国家間においても、お互いに納得するということは、少ない。そのようなことがあるために、何年たっても解決できない問題が多くある。今後、信頼関係が築かれ、解決できる世の中になってほしいと考えている。(梅田 俊介)

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